一般社団法人斜面防災対策技術協会 富山支部
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令和4年 斜面防災対策技術講習会(第36回)

「これからの防災・減災を考える」
〜土砂災害から県民の命と暮らしを守る〜


をテーマとした技術講演会を令和4年2月8日(火)、富山市内のホテルグランテラス富山で開催しました。

○主催: (一社)斜面防災対策技術協会富山支部、富山県治水砂防協会、NPO法人富山県砂防ボランティア協会
○後援: 富山県、北日本新聞社、日刊建設通信新聞社北陸支局、富山県地質調査業協会、(公社)日本地すべり学会中部支部、NPO法人富山県地すべり防止工事士会、グリーンキャスター事業協同組合、立山・神通砂防スペシャルエンジニア、立山砂防女性サロンの会

〜講演会の開催結果〜

今回はコロナ禍の中での開催となりましたが、講演会場では新型コロナウィルス感染症対策を十分に行い、協会員のほか一般県民、国・県・市町村等の行政関係者、NPO法人砂防ボランティア協会員、立山砂防女性サロンの会会員、関係協会など約300名の参加があり、盛会に開催できました。本講演会の開催により、「土砂災害」に関する様々な情報について、参加者一同ハード、ソフト両面から学び、自ら考える機会となり、今後いざという時の対策に大いに役立ものと考えております。

開 会(13:30)

開 会 挨 拶 
(一社)斜面防災対策技術協会富山支部長 田中 洋一郎

主催者の田中支部長から「近年多発する自然災害の経済社会に及ぼす大きさを紹介した上で、防災・減災、国土強靭化のための5箇年加速化対策に対する期待と、本日の講演会が防災意識の向上や安全な県土づくり安心して暮らせる地域の創出につながるよう願っている」と挨拶がありました。

田中洋一郎

田中 洋一郎 支部長


開 会 挨 拶
富山県治水砂防協会 田中 幹夫 会長 (南砺市長)

続いて、富山県治水砂防協会の田中会長が開会挨拶でコロナ下でも開催できたことの感謝の言葉と 数年前に地元南砺市利賀村で発生した地すべり災害を引き合いに砂防事業の重要性、必要性をお話しされました。


田中幹夫

田中 幹夫 会長

会場全景

会場全景

基 調 講 演(13:40〜14:40)

「防災・減災、国土強靭化5箇年加速化対策とこれからの砂防」と題して、(一財)砂防フロンティア整備推進機構 今井 一之 総括研究員(前 国土交通省 水管理・国土保全局 砂防部長)からご講演を頂きました。
今井氏からは、近年の災害事例と砂防施設の効果事例のお話の後、防災・減災、国土強靭化5箇年加速化対策の概要と取り組みの現状、今後の砂防行政について説明がありました。
また、住民避難に関しては、行政が行えることの限界や住民自らが知る努力を行うことの重要性などハード、ソフト両面からの取り組みの必要性を訴えておられました。
さらに、土砂災害防止絵画・作文コンクールで砂防堰堤が描かれた作品が最優秀賞に選ばれたことにふれ、砂防施設そのものが描かれることは少なく、こうした作品が最優秀に評価されることは大変喜ばしいことであると、最後まで砂防愛にあふれる熱いご講演をしていただきました。

今井一之

今井 一之 氏

体 験 報 告 (14:45〜15:05)

富山市立新庄北小学校5年生の皆さんからは、「カルデラニュース 〜立山カルデラ・砂防ダムの魅力〜 」と題して、学校でビデオ撮影した動画によりご報告いただききました。
報告に先立ち、学校を代表して平井教頭先生からご挨拶がありました。
平井先生からは、昨年計画された立山カルデラ子供砂防教室がコロナの影響で中止になり、今年度再挑戦したものの、再びコロナの影響で一旦は中止となり、10月22日のぎりぎりの日程でようやく実現したことや、学校での生徒たちのビデオ撮影の様子などが報告されました。
ビデオ報告では、ニュース形式でキャスターや現地特派員になった生徒が、立山カルデラの特徴や砂防ボランティアによる模型実験から学んだ砂防堰堤の効果などについて報告していました。

平井教頭先生

平井教頭先生

5年生の皆さん

5年生の皆さん

講 演 (15:10〜15:30)

立山砂防女性サロンの会会長で富山国際大学名誉教授 尾畑 納子 氏からは 「暮らしと水 〜災害に備えて〜」と題して講演がありました。
尾畑会長は、専門の水環境に関する分野から災害避難時の水の必要量や少水量での洗濯の方法などについて説明され、災害に備えて水を確保しておくことの重要性を訴えておられました。
また、立山砂防女性サロンの会の活動にも触れられ、2021年に会が設立20周年を迎えたことや立山カルデラの視察の他、国内外の被災地訪問の実績についても紹介がありました。

尾畑納子

尾畑 納子 会長

(休憩20分)

事 例 報 告(15:50〜16:10)

「近年の県内における地すべり災害」について、富山県農林水産部農村整備課 上島 克幸 氏から報告がありました。
まず始めに、地すべり災害は所管する省庁により異なり、今回の事例は農地地すべりであることが説明されたのち、令和2年12月に発生した砺波市井栗谷地内の地すべり災害と令和3年8月に発生した小矢部市荒間地内の地すべり災害が報告されました。
被災住民が撮った家屋が地盤と共に滑っていく追力ある動画や、基礎部が地すべりで抜け落ち浮き上がった神社の移転の状況を、地すべりの地質構造、水位変動、地すべり機構なども交わて分かりやすい説明でした。

上島克幸

上島 克幸 氏

技 術 報 告(16:15〜16:35)

昨年11月に協会支部主催で実施した「紀伊半島大水害 対策工事調査」について、まず初めに、「紀伊半島大水害にかかる地形地質条件」と題して、富山大学の竹内章名誉教授から技術報告をしていただきました。
先生からは、紀伊半島大水害で深層崩壊が多発した要因について深層崩壊は流れ盤斜面で起きやすいことや、紀伊半島一帯に存在する四万十帯では「付加体」と呼ばれる構造で流れ盤になっていることを専門の地震地質学の観点からお話しされ、今回の調査地の「北股地区」の深層崩壊のメカニズムを説明されました。
また、富山県でも東部の山岳地帯で深層崩壊のリスクが高いとの説明もありました。

竹内章

竹内 章 名誉教授

技 術 報 告(16:40〜17:15)

竹内名誉教授の講演を受けて、(株)アーキジオ 代表取締役社長 津嶋 剣星 氏から、「紀伊半島大水害 対策工事調査」と題して、当協会の取り組み状況にも触れながら、各地の被災状況や対策工事の状況について具体的に説明していただきました。

津嶋剣星

津嶋 剣星 氏

次に、今回の調査に参加して頂きました、富山県立大学環境・社会基盤工学科3年の 米田 健人氏と長尾 晃次氏から、同様の演題で、調査した紀伊半島大水害「北股地区」について、深層崩壊の発生要因や河道閉塞等の被害状況、対策工事・復興復旧状況の報告がありました。
最後に、調査に参加しての感想もあり、「規模の大きな災害を見て国土強靭化の重要性を感じた」、「今後の自分の活動に生かしていきたい」と話しておられました。

米田健人 長尾晃次

米田 健人 氏、長尾 晃次 氏

閉 会(17:15)

閉 会 挨 拶 NPO法人富山県砂防ボランティア協会会長 南保 仁士 氏

南保会長から、コロナ禍の中、無事開催できたことへの感謝と講師の方々や多くの参加者へのお礼ほか、この講演会が「防災意識の向上」と「安全な県土づくり」、「安心して暮らせる地域の創出」につながるようにとの挨拶があり、閉会しました。

南保仁士

南保 仁士 会長

講 師 を 囲 む 会

講演会終了後に予定していた「講師を囲む会」は新型コロナウィルスの感染拡大により、中止となりました。

パ ネ ル 展 示

会場では、国土交通省立山砂防事務所提供の「砂防施設の効果」のほか、「紀伊半島大水害対策工事調査」、「富山県内の近年の地すべり災害」、「立山カルデラ砂防勉強会」、「土石流の模型実験」をパネル展示し、県民、防災関係者など多くの方に見ていただきました。

平井教頭先生

パネル展示

5年生の皆さん