一般社団法人斜面防災対策技術協会 富山支部
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2016 斜面防災対策技術講演会

「土砂災害を防ぐ防災事業」
〜安全に絶対はない〜

 をテーマとした技術講演会を平成28年2月12日(金)、富山市内のホテルグランテラス富山で開催しました。

○主催: (一社)斜面防災対策技術協会富山支部、富山県治水砂防協会、NPO法人富山県砂防ボランティア協会
○後援: 富山県、北日本新聞社、日刊建設通信新聞社北陸支局、富山県地質調査業協会、(公社)日本地すべり学会中部支部、(公社)地盤工学会北陸支部、NPO法人富山県地すべり防止工事士会、グリーンキャスター事業協同組合、立山・神通砂防スペシャルエンジニア、立山砂防女性サロンの会

〜講 演 会 の 開 催 結 果〜

 講演会場のホテルグランテラス富山には、協会員のほか一般県民、国・県・市町村等の行政関係者、NPO法人砂防ボランティア協会員、立山砂防女性サロンの会員、関係協会など約420名の参加があり、盛会に開催できました。
 本講演会が、「土砂災害」に関する様々な情報について、広く県民、行政関係者、防災に携わる企業関係者等がハード、ソフト両面から学び、自ら考える機会となり、今後いざという時の対策に大いに役立ち、実りある成果があったものと考えております。

開 会(13:30)

開 会 挨 拶 (一社)斜面防災対策技術協会富山支部長 村尾 于尹

 主催者を代表して、村尾支部長が「災害に対して我々は、どう対処をすべきなのか。実際、身に降りかからないと認識することは難しい。しかし、備えあれば憂いなし。皆さんには、その知識を身に付けていただきたい。」と挨拶を行いました。

村尾于尹支部長

村尾于尹支部長

特 別 講 演(13:35〜14:35)

 「ヨーロッパの砂防事情と立山砂防の思い出」と題して、筑波大学大学院 西本晴男 教授から講演を頂きました。西本教授には、立山砂防工事事務所調査課長時代の立山砂防60周年記念行事を振り返られ、水谷や六九谷の山腹工などの経過を説明していただきました。
 ヨーロッパの砂防については、フランス、オーストリア、ドイツ、イタリア、スイスの砂防事例を紹介。
 このうち、フランスの砂防堰堤は、基本的には鉄筋コンクリート製で、水通し下流はせり出して施工され、水通し部は石張りとなっているその特徴を講演されました。

西本教授

西本教授

体 験 報 告(14:35〜14:55)

 斜面防災対策技術協会富山支部では、平成25年度から国土交通省立山砂防事務所の協力を得、斜面防災の重要性を知ってもらうため、常願寺川流域の小学生を対象に直接カルデラ内で防災事業等を体験する勉強会を企画しています。
 今年度は、立山町立釜ケ渕小学校6年生に昨年9月に体験学習をしてもらいましたので、その感想を発表していただきました。
 6年生は総合学習の時間を中心に「立山の魅力」について学習を進めてきました。立山の歴史、立山カルデラ砂防博物館、立山信仰、砂防などについて現地を訪問するなど、テーマに沿って取り組んできました。その中でも、立山を源流とする常願寺川は、洪水の無い川のイメージでしたが、これまでも何度も洪水を繰り返し、大きな災害が発生したことを知ったそうです。
 今回のカルデラの体験学習会では、砂防工事現場を見学し、下流の暮らしを守るために、多くの人が砂防工事に従事している様子を見て、立山について多くを学ぶとともに、先人の尽力により、安全な毎日を送ることができることに感謝の気持ちと、改めて、故郷に誇りを持つことができたそうです。

釜ケ渕小学校

釜ケ渕小学校

基 調 講 演(14:55〜15:55)

 「土砂災害と砂防」と題して、国の防災専門家の立場から、(前)国土交通省水管理・国土保全局砂防部長、(一財)砂防・地すべり技術センター 大野宏之審議役から講演を頂きました。
 土砂災害の要因が多い日本、世界と日本における地球温暖化の予測、日本における降水量と洪水頻度の増加予測、雨と土砂災害の関係、など気候変動と土砂災害について説明がありました。
 次に、最近の土砂災害発生状況のなかで、伊豆大島の土砂災害に関しては、災害発生と警報等の発表経過、泥流の流下状況、流木による被害拡大、砂防施設の効果など、また、広島県土砂災害に関しては、被害状況、雨量と警戒等発表の経過、砂防堰堤の施設効果などの説明がありました。
 最後に、砂防関係の法律の編成、砂防行政の展開・目指すものなどでは、土砂災害の特徴と留意点、減災の取り組みや砂防事業の効果などソフト、ハード面から具体的に分かりやすく講演して頂きました。

大野審議役

大野審議役

(休憩15分)

技 術 報 告(16:10〜16:40)

 昨年10月に協会支部主催で実施した「広島土砂災害調査」の技術報告にあたり、「広島土砂災害概論」と題して、富山大学大学院理工学研究部 竹内章 教授から講演を頂きました。
 広島県を含む中国地方の地質、地形、活断層、地体構造についての説明のほか、土砂災害で被害の大きかった緑井・八木地区の地形地質と空中写真判読による土砂流出範囲と甚大な被害が局部に集中した原因などについて、専門の地震地質学の観点から講演を頂きました。

竹内章教授

竹内章教授

技 術 報 告(16:40〜17:10)

 竹内教授の講演を受けて、橋本 龍三 潟Aーキジオ調査設計部技師からは、「広島土砂災害調査」の詳細について、技術報告をして頂きました。
 内容としては、土砂災害の概要、調査箇所、地形・地質、気象状況の説明と、地区ごとの崩壊の現象、また、砂防施設の効果、現在の復旧状況など具体的に現地視察に基づいて詳しく説明してもらいました。
 また、協会支部の災害協定に基づく活動実績についても説明して頂きました。

橋本龍三技師

橋本龍三技師

技 術 報 告(17:10〜17:30)

 立山砂防女性サロンの会 会員の 村井 明子氏 からは、「北欧3か国を訪ねて」と題しまして講演を頂きました。立山砂防女性サロンの会では、2004年以来、毎年、海外研修を実施されており、今回は、昨年視察された北欧3か国の土砂災害や地すべり災害についての報告のほか、有名なフィヨルドやノーベル博物館等についての紹介、また、現地女性団体との交流などについて、具体的に説明を頂きました。

村井明子氏

村井明子氏

閉 会(17:30)

閉 会 挨 拶 NPO法人富山県砂防ボランティア協会会長 吉田 攻

 吉田会長から、講師へのお礼と多くの参加者に対するお礼、「今後とも、土砂災害に関する理解を一層深めていただきたい。」との挨拶があり、閉会しました。

吉田攻会長

吉田攻会長

講 師 を 囲 む 会

 講演会終了後は、講演を頂いた講師を囲み「講師を囲む会」が開催され、多くの方に参加を頂きました。予定していた時間もあっという間に過ぎるなど、有意義に懇談して終了することができました。

パ ネ ル 展 示

 会場では、広島県土砂災害、伊豆大島土砂災害、立山カルデラ砂防勉強会のパネルを展示し、県民、防災関係者など多くの方に見ていただきました。

パネル展示

パネル展示